【明治ラグビー】関東大学春季交流大会で早稲田大学に敗れる
2024年6月2日（日）に新潟ビックスワンにて明治大学対早稲田大学の一戦が行われた。結果は、26‐36で明治大学が敗れた。点差以上の完敗だった。
1．試合を見ての雑感
一言で言って、組織プレーの完成度の違いが如実に表れたと思う。早稲田大学は昨年末に京都産業大学に敗れて、1月から練習を開始したという。一方の明治は、バックスコーチを務めていた伊藤コーチが退任して、クボタスピアーズのコーチであった高野さんが5月以降に着任するといった形。チームプレーもほとんどできていない状況のようだ。
去年の春季の大会は貯金があったが、今年は昨年の主力メンバーの4年生が卒業して、新たなチーム作りに着手している状況である。個人で突破していく明治、組織で突破していく早稲田という形で、チームとしての完成度が圧倒的に早稲田大学の方が高かった。
2．早稲田大学のラグビー
まずは、佐藤選手。日本代表に選ばれて、一回りプレーの質があがった。得意の突破力に磨きがかかり、昨年の早明戦で見せたようなボールキャリーが更に強くなった感じ。キャプテンシーもあり、早稲田ラグビー部全体が明るい雰囲気になっている。新潟の試合の前に上井草グランドで行われた新人戦を観戦したが、そこでも同じように早稲田の一体感を感じた。
また、早稲田大学は全体的にディフェンスが早く、前でタックルするスタイル。何度かオフサイドを取られていたが、出足の速さで明治の突破を未然に防いでいる感じ。
一方で、その裏には大きなスペースがあり、Ｊスポーツ解説の菊谷さんも「田村選手のようにそのスペースにゴロパンチを蹴ると面白い」と仰っていた。
帝京大学は明治戦の研究をしてくると思われるので、出足の速さと裏のカバーをどう両立させていくか、真価が問われるところだろう。
3．明治大学のラグビー
とにかく、チームとしてのプレーができていないという感じ。攻撃のオプションも少なく、個人の縦の突破に頼るシーンが多かった。昨年見せたような階層的な攻撃は影を潜め、バックスに展開してもセンターでぶつかってラックになるというケースが多かった。
スクラムは早稲田に押されて劣勢だった。早稲田大学は春からスクラムを組んできていて完成度が高いとは言え、あそこまで劣勢だと試合展開に影響が出る。ＦＷ1列目を交代した後半からは比較的安定したが、ＦＷ1列目を含めたスクラムの強化は秋に向けて大きな課題である。
ラインアウトも不安定だった。田島選手のようなスキルのある選手がいないと厳しい。ラインアウトからのモールも押せていなかった。ロックの位置でモールをリードするところに改善が必要である。
バックスはスクラムハーフの攻撃のテンポが遅く、その点で早稲田大学との決定的な差があった。新人早明戦も同様、ハーフからの球出しが遅いので、ディフェンスが揃ってしまう。特に前に出るディフェンスなので、スクラムハーフからの球出しが遅いと、前でディフェンスしやすくなる。テンポをあげて、ディフェンスが揃わないタイミングでの攻撃を心がけてもらいたい。
バックスに入った萩井選手、為房選手、白井選手はいい経験になったと思う。流経戦や法政戦でみせたような輝きは、強度の高い早稲田戦では通じないことが分かっただけでも大きな収穫である。
ただ、萩井選手と為房選手は前日に行われた新人早明戦へ出場して欲しかった。ただ、それができないくらいに、ケガ人、Ｕ20代表にメンバーを取られる等でメンバーを揃えられないのだろう。
バックスは、昨年のようなわくわくする展開ができていない。去年見せたようにＦＷがダミーで入って狭いスペースに入り込んだり、逆のウィングが回って人数で優位性を出したりといったようなプレーはほとんど見られなかった。CTBでもキックを蹴るようなオプションがあってもいいのではないだろうか。
4．今後の明治に期待すること
高野コーチが着任してまだ1か月ぐらいしかたっていない状況。メンバーも揃っていないので、チームとしてのプレーはこれからだろう。この春が底だと思うので、ここから組織プレーを強化して、去年を超える観ていてワクワクするチームを作って行ってもらいたいと思う。ファンとしてはここからの伸びしろを期待したい。
あと、気になるのはけが人の多さ。去年のレギュラークラスだった、ＰＲの富田選手、ＣＴＢの平選手の2人は早稲田戦に間に合わず。他にもケガ人が多く、海老澤選手も怪我、新人の阿部選手、倉掛選手、長谷川選手も怪我で新人早明戦に出場できなかった。
ベストメンバーでチームプレーを強化して、次戦の帝京戦に臨んでもらいたい。
今回も最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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